昨年末アトピー性皮膚炎の新しい内服治療薬が出ました。

年末やコロナの影響もあり、まだあまり処方している所は多くない様ですが、これまで治療の効果が出にくくお困りの方には新しい選択肢の一つとなるお薬です。

 

オルミエント(バリシチニブ)錠

 

という名前で

ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK)阻害剤というタイプのお薬です。

(昨年外用薬でコレクチム軟膏というお薬が出ましたがこれはJAK阻害剤の外用薬でした)

 

オルミエントはアトピー性皮膚炎の症状に関与する複数のサイトカイン(IL-4,IL-13,IL-31など)の働きを抑えてかゆみや皮膚の炎症を抑えて効果を出すお薬です。

よく効くお薬なのですが、注意も必要なお薬です。

 

特徴としては

  • 1日1回の内服薬です。(時間の制限はないため、飲み忘れしにくい時間に内服します。注射ではないため痛みの心配などがありません)
  • 内服を始めるにあたり、肝炎や結核の有無や白血球数や腎機能などを調べる必要があるため採血やレントゲン検査が必要になります。内服開始後も定期的な検査が必要です。
  • 内服中は免疫の働きが低下し感染症にかかりやすくなる可能性があるため注意が必要です。
  • 帯状疱疹、静脈血栓塞栓症、間質性肺炎、消化管穿孔、横紋筋融解症などの副作用があらわれる可能性があります。
  • 治療費が高額です。(4週間の薬剤費が147,560円で3割負担の方で44,270円、その他検査や診察料などがかかります)
  • 処方出来るクリニックや病院が限られています。
  • 小児や妊娠、授乳中の方は内服出来ません。
  • 生ワクチンの接種は出来ません。
  • プロベネシドというお薬を内服中の方は併用に注意が必要です。
  • 内服中も外用治療の併用が必要です。
  • 症状が落ち着いた後は内服を中止することが出来ます。(症状再燃のリスクがあるため自己判断ではなく必ず医師と相談の上中止しましょう。また症状軽快後もアトピー性皮膚炎が治癒する訳ではないので外用治療の継続は必要となります)

 

内服後翌日からかゆみが良くなったり、これまで外用してもあまり良くならなかった方がとても症状がよくなるなどの効果がみられる可能性があるお薬です。

とても高価なお薬なのはネックですが、長い期間お薬塗っていても症状がおさまらない重症のアトピー性皮膚炎の方は内服を考えてみてもよいかもしれません。

当院では処方は行っていませんがご希望の病院にご紹介させていただいていますのでご相談ください。